NSCore、IoT市場に向けた40nm世代の超低電力OTP+メモリIPを発表
福岡県に本社を置く不揮発メモリIPベンダー、株式会社NSCore(以下、NSCore)は、40nm世代のプロセス技術を用いたIoTチップ用OTP+メモリIPの開発を完了したと発表した。通常は一回書込型のOTPとして利用するためのメモリだが、開発の現場では複数回書き換えることが可能になっていることからOTP+と名付けている。この機能を用いることで、プログラム・デバックを含めたコード最適化を実機上で容易に行うことが出来る。
NSCoreは40nm以下の先端プロセスに対応するため、特許取得済みの独自技術である「P型ショットキーセル」を初めて採用した。標準のファンドリー・プロセスに一切の製造工程追加無く、4KByte相当1K x 39b(32b+ECC)のメモリを0.082mm2という極めて小さい面積で実現している。また、データ読み出し時の平均消費電流は1μA/MHzと業界で最も低い値を達成している。このメモリIPを使って狙っているのが、電池を内蔵せずにBluetooth通信などの電波を使って半導体チップ内部で発電した電力だけで駆動するエナジーハーベスティング(環境発電)と呼ばれるIoTチップの市場である。
NSCoreは、不揮発メモリIP技術に関して既に30件を超える特許を取得しており、独自の超低電力技術を用いてIoT市場への訴求力を高められると考えている。
NSCoreからIPのライセンスを取得して新製品を開発したのが、エナジーハーベスティング製品を手がけるスタートアップ企業Wiliot社である。Wiliotの研究開発副社長 (VP of R&D) Yaron Elboim氏は、「超低電力で動作すること、面積が非常に小さいこと。この二つの理由から我々は、NSCoreのOTP+メモリIPの採用を決めた。これらの特徴は、我々が展開するエナジーハーベスティング製品にとって極めて重要な要素である。」と述べている。
NSCoreについて:
2004年に設立されたNSCoreは、不揮発メモリ技術に特化したIPプロバイダーです。NSCoreは、標準CMOSプロセスに適用可能な不揮発メモリ技術を開発しており、ファンドリーを選ばずに適用可能でありながら、高い信頼性と歩留まりを達成しております。
Wiliotについて:
Wiliotはイスラエルに本社を置く、 Wiliot IoT ピクセルとクラウドサービスを開発するスタートアップ企業。アメリカやドイツなどでも事業展開を図っている。2021年7月、ソフトバンクグループ傘下の投資ファンド「ビジョン・ファンド2」などから2億ドル(約220億円)を調達し、米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)や、NTTドコモ・ベンチャーズ、ベライゾン・ベンチャーズなどから出資を受けており、世界から注目を集めている。